世界の頂点を目指す、岩渕幸洋選手
パラ卓球のプロ選手として活躍されている岩渕幸洋(いわぶち こうよう)選手。先天性で足首が動かない「両下肢機能障害」を持っており、足に障害がありながら立位でプレーを行う「クラス9」で戦っています。岩渕選手の戦型は右シェーク前陣速攻型といい、卓球台に近い位置から速いショットを打ち出すスピード感のあるプレイスタイルです。その体から繰り出される激しいプレーには鬼気迫るものを感じます。
学生時代から数々の国内外の大会へ出場し実績を積み、時には健常者の大会へも出場するなど、並みならぬ野心で技術やスピードを磨いていました。世界ランク11位となった2016年(当時大学4年)にはリオ・デ・ジャネイロパラリンピックへ出場。結果は惜しくも予選敗退となりましたが、その悔しさをバネに、前向きな姿勢と野心でよりいっそうの努力を重ねてこられました。協和キリン卓球部に所属している現在も数々の国際大会に出場するなど、世界トップクラスの中で戦っています。
その努力は着実に実を結び、2019年6月に開催されたメキシコオープンでは、立位男子クラス9でシングルス、団体の両方で優勝を果たし、ついに自身最高位となる世界ランク3位にまで登りつめました(2019年10月)。2020東京パラリンピックまで1年を切った今、2回目となる4年に1度の大舞台での金メダルを目標に更なる高みを目指しています。
パラスポーツの魅力をもっと知ってほしい。そのためにできること。
岩渕選手はプロ選手として実力を伸ばしていることもさることながら、パラスポーツの発展のため、様々な活動をされています。特にプロ選手となってからは、パラスポーツのイベントやメディアに出演、小・中学校で講演会を行うなど、パラスポーツの魅力や困難を乗り越える力などを積極的に発信されています。
株式会社セブンユニフォームでは岩渕選手のスポンサー企業として力になるべく、福島県立飯舘中学校での交流会開催や、応援Tシャツを製作させていただきました。
2018年11月26日に行われた飯舘中学校での講演・交流会では、パラ卓球や障害について、パラスポーツ独特の戦略、そして自身の弱点と向き合い乗り越える方法についてお話して頂きました。弱点を「できない」で終わらせず、正確な目標設定をすることで一つひとつ乗り越えていく、というお話に、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。その後に行った卓球部員とのラリー対決では、目の前で繰り出される岩渕選手の迫力あるプレーの連続で、大いに盛り上がりました。
「これが私の個性です」
応援Tシャツに描かれている特徴的な足型。これは岩渕選手が自ら描かれたものです。応援Tシャツを製作するにあたって改めてご自身の障害についてお話して頂いた際に、岩渕選手はご自身の足型をささっと描き「これが私の個性です」と気持ちよく言い放たれたのです。障害をただひとつの個性として受け入れ、前へ前へと進んでいく岩渕幸洋という人の強さが、この絵に表れているようでした。あっけらかんとした岩渕選手の姿に驚き、そして心を動かされてしまった我々製作陣は岩渕選手自ら描かれたこの足型をそのままデザインに落とし込むことにしました。そのTシャツには岩渕選手のそんな情熱が反映されていたのです。
2020東京パラリンピックに向けて、そしてパラスポーツの発展のため日々練習・活躍されている岩渕選手。皆様もぜひご声援をお願いします。
岩渕幸洋
Koyo Iwabuchi
Profile
パラリンピック卓球日本代表。協和キリン株式会社所属。
プロのパラ卓球選手として数々の国内・国際大会へ出場し、活躍している。世界ランク3位(2019年10月)。
主な戦績
- 国際クラス別パラ卓球選手権 優勝4回(2014,15,17,18年)
- ジャパンオープンパラ卓球選手権 優勝6回(2011,13,14,16,17,18年)
- 2016年 リオ・デ・ジャネイロパラリンピック出場(予選敗退)
- 2017年 世界選手権(団体) 準優勝
アジア選手権(個人) 準優勝 - 2018年 アジアパラ競技大会(個人)準優勝
アジアパラ競技大会(団体)優勝
世界選手権 個人3位 - 2019年 メキシコオープン (個人・団体)優勝
アジア選手権(個人)準優勝